ソサイエティ制がスタートして半年が経過した.ソサイエティニ ユーズレターの発行やソサイエティ大会の開催など会員にも少しず つソサイエティの活動がみえ始めたと思う.ソサイエティが互いに 独自の活動を活発化し,その結果,電子情報通信学会全体が活性化 して会員の知的活動に役立つ,というソサイエティ制の理念を達成 するためには,(1)ソサイエティ活動の横並び意識を捨て去るこ と,(2)ソサイエティ活動に必要な財政的判断を自分で決定でき ること,の2点が最も重要である.
課題の(1)は意識改革の問題であり,"よそのソサイエティが こうしているからうちも”とか,"あのソサイエティだけがこんな 企画を行うのはおかしい”とかいう意識を払拭しなければならない. 学会のアクティヴな会員は個々にやりたいことをもっているもので あるから,この課題は学会の理事会を始めとする上部の意識改革が より重要であると思う.
一方,(2)は制度の問題である.ソサイエティが新しい企画を 実行するとき,それに要する経費に関していちいち理事会にアクセ スせねばならないのでは,分散処理であるソサイエティ制の意味が ない.従って各ソサイエティは自分で処理を判断できるリソースを もつ必要がある.ソサイエティがある範囲の中で収入と支出を独自 にハンドリングできる,すなわち独立採算がソサイエティ制には必 須である.しかし本年度はまだ独立採算には移行していない.学会 では現行方式から独立採算へ,「仮想独立採算制」,「準独立採算 制」, 「完全独立採算制」と3段階をふんでスムーズに移行させる ことにしており,来年度からいよいよ準独立採算制に移行すること になる.
準独立採算制の課題は,まず会費13,000円のうちいくらソサイエ ティが使えるのか決めることである.これによってソサイエティの 収入が明確になる.もし新しい活動を起したいときその財源が不足 ならば,ソサイエティの支出を削減するか,新しい収入を獲得する 活動を行うか,ソサイエティの運営の方向ははっきりする.この準 独立採算のもとでは会費のソサイエティ分や大会参加費などは全ソ サイエティ同一に設定される.しかし完全な独立採算制に移行すれ ばIEEEのようにソサイエティ会費やソサイエティ大会参加費などは 各ソサイエティの財政状況によって差が出てくるであろう.各ソサ イエティの知恵の出しどころである.
ソサイエティ制という分散処理システムに電源は入った.しかし プログラムをロードしシステムを起動する作業はこれからなのであ る.