The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers


マルチメディアにエールを

企画理事,愛澤慎一

 ここ1〜2年,新聞,雑誌また本学会の大会でも,マルチメディアに関する 記事,論文がよく目につく.

 マルチメディアについては,これからの社会,経済に大変大きな変革をもた らすといわれており,既にインターネットを使用した無店舗販売などのビジネ スが始まっている.また学術情報ネットワークでは,150 メガの専用網を用い 全国の大学間で,図書館情報を中心に各種データベースの送受を行っている.

 マルチメディアの定義は種々あろうが,聴覚情報,視覚情報(テキスト,静止 画像,動画像)等どのような情報媒体でもオフィス,家庭で一つの通信システム 経由で取り出せるものともいえよう.これが可能となった要因をいくつか挙げる と,まずディジタル技術(伝送,交換),大容量伝送技術,光ファイバ技術等の 基幹技術のほか,コーデック等の進歩を支える信号処理,帯域圧縮,符号予測, 画像処理技術,また端末の高度化,多様化を支えるディスプレイ技術,またコン テンツ,アプリケーションの作成を支える各種ソフトウェア技術,更にこれらの すべてを支えている半導体技術,コンピュータ技術等非常に幅広い学問,技術の 進歩が挙げられる.

 本学会の会員の皆様の大部分がこれらのいずれか,あるいは複数の分野に,直 接,間接的に寄与されていることを思うとマルチメディアを支えているのは本学 会であるといってもいい過ぎにはならないと思える.

 マルチメディアに必要な技術としては一応メニューはそろったところであり, 通信ネットワークについては専用網であれば 150 メガまで(600 メガは試験サ ービス中),公衆網では6メガまでサポートされており,現在サービスエリアを 拡大中である.

 アプリケーション,コンテンツの面でも国を中心に,電子図書館システムの研 究,国会会議録システム構築の検討,科学技術庁等による省際ネットワークを用 いたデータベース構築の研究等が進行中である.

 今後マルチメディアが大きく開花するためには,更に安全で使いやすいネット ワークとする技術,端末,通信料の低廉化を促す各種技術,更にはマルチメディ アの副作用についての検討等の進展が必要であり,本学会の皆様の活躍に期待さ れるところは大きい.


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