The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers


ソサイエティ制のテークオフ

通信ソサイエティ会長 三木 哲也

 本学会のソサイエティ制はまもなく2年を経過し,ジェット機のテークオフ に喩えるならば,昨年度はゴーサインと共に順調に滑走を始め,スピードを加 速してエンジン全開.今年度は試行フェーズから準独立採算フェーズへスイッ チオンして揚力もつき,間もなく車輪が滑走路から離れようとしているところ か.

 それぞれのソサイエティが自由闊達な活動を始めている.通信ソサイエティ でも,特に若手の会員に魅力ある研究会活動などの活性化,国際化,電子化・ ネットワーク化を主な柱として試行錯誤中である.例えば,ニューズレターの 電子メール配布,ソサイエティ誌の発刊準備,実質的にソサイエティ活動を支 えている研究会幹事などの表彰,国内外の会議のインターネット中継の試み, 研究会の海外開催,IEEE Communications Society との姉妹ソサイエティ協定 締結による出版物のディスカウントなどを含めて,種々の試みを行っている.

 これらの中には,既にやっていて当り前のことや,時代の流れで当然やるべ きこと,も多く含まれているのであろう.世の中の競争の波は,例外を許さず 学会にも及んで来ている.特に,本学会の分野は,1年が 3年のスピードで進 んでいるともいわれるほど変化が激しく,領域も拡がっている.当然,他学会 との接点も急速に増えている.企業の経営と同じく,たゆまぬ創意工夫は当り 前であり,同じところにとどまっているのは先細りを意味する.

 そこで,ソサイエティが自信をもって独自に飛行するフェーズに入るために は,これまでの経験をベースに,テークオフ後の推力として有効な真の活性化 策をどれだけ見い出しているかが問題であろう.同時に,それを会員が広く理 解し,皆で盛り立てていこうというボランティア精神がどれだけ行き渡ってい るかも問われるであろう.そう考えると,まだまだ多くのアイデアと運営上の 施策が必要と思える.

 このためには,ソサイエティ制の自由度を一層活かして,会員に魅力あるソ サイエティ作りに努力すべきだが,同時に学会全体としてもてる力を活かして 考えるべき施策も多いように思える.例えば,先ごろ実現した論文誌掲載別刷 代の値下げは良い例だし,電子化・ネットワーク化への十分な投資,会員カテ ゴリーの多様化,広報活動の強化,などは有力な施策になり得るものと考えら れる.

 本来のねらいである,ソサイエティ独自の活力と,学会全体の底力の巧みな 連係により,本学会のソサイエティ制テークオフを見事に成功させようではな いか.


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