1.総   論 【 1-1総合技術としてのシミュレーション工学 】

山 下 榮 吉

【 企業関係者アンケート回答の一部 】

〔その他の意見欄〕

・国立も私立も大学には多くの税金が投入されているので,そこで生産された知識はオープンにされて国家や世界に還元されるべきである.インターネットの普及で容易に成果を公表できる.積極的にやってほしい.

・学会のFTPサイトで公開できるソフトを掲載してほしい.

・MOSを使う人間にとっては良いシミュレータがなくて困っている.三次元電磁界解析と回路シミュレータの統合したものがほしい.

・標準的数値計算ルーチンのように電磁波工学上必要なプログラム(MM,FEM,FD-TD等)も整備されたらよい.

・電磁界表示標準グラフィックプログラム(X-Windows,MS-Windows上動作)が開発されればよい.

・フリーソフトライブラリ(フォーラム)があればよい.

・LinuxやJAVAのようにソースコード公開で改良していくような環境の提供に大学は積極的にかかわってほしい.

・市販ソフトが不得手とするソルバの高精度化,新規ソルバ導入を大学に期待する.

・世界中でHP社のMDS/ADS上のS/Wになっている.したがってMDS/ADS上で動くものが必要である.大学も理想を追わず実用性を考えてほしい.

・コマーシャルベースソフトはほとんど輸入品である.日本の大学も用途,種類を問わず海外並にすることが先決である.

・国内のシミュレータのレベルは海外に比べ大変低い.ベンチャー企業を興すくらいの気迫を持って研究すべきである.コマーシャルベースのソフトの実力を一度勉強してから研究会の目標を設定してほしい.いつか本分野で世界をリードできることを願う.

・大学はプログラム開発とともに市販ソフトの限界や使用上のノウハウ等の公開でも活躍してほしい.

・我々に投資の準備はある.日本は能力的には欧米に劣っていないのにEDA toolの分野でビジネスが下手である.早急な改善を望む.

・大学研究者といえども企業家精神で産業界に対して打って出るべきである.

・海外のようにソフトウェア会社を作り,企業がメリットを享受できるようにしたい.

・市販ソフトはブラックボックスで当然である.日本の大学では無償でソースを公開し,サポートは大目に見る形が無理がないと思う.

・市販ソフトの販売元は原理を公開し過去のソフトのバグをどう修正したか公開すべきである.

・導波路不連続計算にもまだ困難が多い.実際の回路で無調整が目標となる.大学と企業共同で世界的有用ソフトを作ることが望ましい.

・大変有意義な研究会を発足し,活動されている.市場展開変化スピードが速いので遅れないようにしたい.  

・大学が有償でソフトを販売する場合,制度上利益配分等に難しい問題があるのではないか.特許等の考え方の整備が必要である.

・電磁界解析どころか分布定数線路も十分理解せずシミュレータの最適ルーチンだけを頼りに設計してしまう技術者が出てきている.大学においては理論,知識の基盤を作り,スミスチャートで設計できる能力を培ってほしい.

・現状の電磁界シミュレータは1段増幅器の入力もしくは出力回路だけの計算で6〜7時間もかかる.一方では回路の相互結合を考慮するために大規模な回路を一挙に電磁界解析する必要があると考えられるが,これは現在の市販ソフトは不可能である.超高速MMIC電磁界シミュレータの必要性が迫っている.

・産学共同で効率良いソフト開発(デバイス開発)が行えるよう取りまとめを願いたい.





山下 榮吉(正員)やました えいきち

昭31電通大電波卒.昭41米国イリノイ大大学院博士課程了,
昭31通産省電気試験所勤務,昭39イリノイ大勤務,昭42電通大勤務,
マイクロ波及び光波の効率的伝送路の研究に従事,
電気通信学部長を経て平10定年退職.Ph. D., IEEE Life Fellow. IEEE MTT-S 2000年功績賞受賞.


5/5


| TOP | Menu |

(C) Copyright 2000 IEICE.All rights reserved.