【 アクセスネットワークの現状と将来展望 】

三 木 哲 也   篠 原 弘 道



■6. 新たな概念によるアクセス網 :コミュニティーネットワーク

  次世代の情報通信はインターネットをベースに展開されることは疑いのないところであるが,その利便性を享受するためには,ネットワークの信頼性,安全性をはじめ課題が山積している状況にある.IP通信をベースとするユニバーサルなアクセス網を構築するためには,不正アクセスなどの脅威から利用者を守るファイアウォールのような情報障壁を形成するとともに,情報弱者が取り残されることのないようバリヤフリーを目指したネットワーク機能なども必要になる.企業などの組織内のネットワークはそれぞれの業務に適したネットワーク運用と情報の管理に多くの努力が払われているが,家庭や中小ビジネスユーザのネットワーク利用環境ははるかに遅れている.一般ユーザを対象としてユーザグループや個人の特性にきめ細かく適応できるネットワークをコミュニティネットワークと呼んでいる.

 これからのアクセス網は,上記のような要求を満たすコミュニティネットワークであることが重要と考える.これを実現するには,高位レイヤの情報通信機能の充実が必要になってくる.必要となる基本機能は図5のように,ユーザグループ化(カスタマイズ化)機能,情報コンテンツ管理機能,セキュリティ機能,ユーザ支援機能となる.


図5 コミュニケーションネットワークに必要な主要素

一般ユーザを対象としてユーザグループや個人の特性に木目細かく対応できる
ネットワークをコミュニケーションネットワークと呼んでいる.
これを実現するにはユーザグループ化機能,セキュリティ機能,情報コンテンツ管理機能,
ユーザ支援機能といった高位レイヤの情報通信機能の充実が必要になってくる.


 NTTが2000年5月よりサービス提供を開始した“ワイドLANサービス” はコミュニティネットワークの一形態といえる.ワイドLAN上では,複数のCUG (Closed User Group)を形成することができ,ある特定のグループに参加する者同士があたかもLANで接続されているような感覚でIP通信を行うことができる(図6).ワイドLANは,4.で紹介した帯域共用アクセス技術を応用して実現されている.


図6 ワイドLANの概要

LANの利便性を一般の学校や商店街といった地域のコミュニティに展開したサービスであり,
ある特定のグループに参加する者同士があたかも一つのLANで接続されているような感覚でIP通信が行える.





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