中 川 正 雄

電子情報通信学会誌

Vol.84 No.9 pp.643-648

2001年9月
中川正雄 正員 慶應義塾大学理工学部情報工学科
 E-mail nakagawa@nkgw.ics.keio.ac.jp

Orthogonal Frequency Division Multiplexing and Code Division Multiple Access Combined Modulation. By Masao NAKAGAWA, Member (Faculty of Science and Technology, Keio University, Yokohama-shi, 223-8522 Japan).

< ABSTRACT >
 近年の移動通信の進歩はすさまじいものがある.その中で第3世代以降の変調方式がどのようなものになるのか注目されている.高速,広帯域な伝送が可能で,かつ周波数効率の高いものが望まれる.本稿ではそうした中で何かと議論の多いOFDMとCDMAの融合方式を分かりやすく解説する.まず,OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)とCDMA(Code Division Multiple Access)の両変調方式に関して別々に取り上げ,最後にそれらが融合した方式について解説する.

キーワード:OFDM,CDMA,移動通信,第4世代





■1.ま え が き

 我が国で移動通信が自動車電話として運用を開始したのが,1979年であり,アナログのFM変調方式を採用していた.この世代を第1世代(1G)と呼び,1993年にはディジタル変調のπ/4シフトQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)による第2世代(2G),そして2001年からはWideband CDMA(Code Division Multiple Access)による第3世代(3G)が開始する.しかしながら,移動通信では被変調波信号が通過するパスが複数存在しそれらが干渉するマルチパス干渉だけでなく,多くのユーザが同時に利用するための同一チャネル干渉も起り特性を劣化させる.更に,今後は,音声のような低データレートだけでなく,動画像のような高速伝送の要求をも満たさねばならない.

 こうした中での変調方式は以上のような問題を軽減するものでなければならない.ここでは,2007年以降に運用開始予定の第4世代(4G)の候補としてのOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)とCDMAの融合方式について解説するものであるが,2.ではOFDMについて,3.ではCDMAについて,4.はこれらの融合方式について,最後の5.は結論である.










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