電子情報通信学会会誌

Vol.84 No.12 pp.851-868
2001年12月




左:笠原 上左:岩垂 上中:辻井 上右:広田 右:有本
 下左:甘利 下中:植松 下右:田崎 

 

 

平成13年6月21日機械振興会館において開催

司 会

出席者 





幹 事 
辻井 重男(中大)

甘利 俊一(理化学研究所)
有本  卓(立命館大)
岩垂 好裕(多摩大)
笠原 正雄(大阪学院大)
田崎 三郎(松山大)
広田  修(玉川大)

植松 友彦(東工大)
         (五十音順)
 IT社会の理論的支柱を築いた巨人の一人であり,本会名誉員でもあるクロード・シャノン博士が本年2月に亡くなられた.

 本座談会では,シャノン博士が,情報理論の創設や,暗号理論,人工知能等の分野に残した遺産とスペクトル理論,量子情報理論等,今後のシャノン理論の発展について,各分野で優れた業績を挙げられた方々に各々の立場から語り合って頂いた.

 なお,第2部として,後半では,残念ながら御出席頂けなかった稲垣康善先生(名大)と嵩忠雄先生(広島市大)にも御参加頂き,座談会では語り尽くせなかった内容を「私とシャノン(自分から見たシャノン)」と題して,御執筆頂いた.

 本座談会が,会員諸氏の研究活動の一助となれば幸いである.

 

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■シャノンの生涯と業績


〔辻井〕
 最初に「シャノンの生涯と業績」ということの概観ですが,田崎先生からお願いします.


〔田崎〕
 シャノン(Shannon)が情報理論の創始者として評価されていることに大変興味をもって,彼の生涯を調べてみたら,やはりそれなりのバックグラウンドはあった.エジソン(Edison)の遠縁に当たるというようなことも含めて.しかも,エンジニアとしてのバックグラウンドが非常にあって,数学者というよりむしろ技術者というか,彼の真骨頂はエンジニアの時代にあるのではないかと思うのです.もちろん,勉強もファイ・カッパー・ファイとか,米国の優秀な大学生に与えられる栄誉を,すべて彼が得ているところからして天才というか,そういう人物であったということは隠れもない事実です.それだからこそあれだけの論文が書けたのではないかと思うし,それにまた,彼の偉大なところは,それを世間が高く評価すればするほど「自分のやったことはそんなに大変なものではない」というような,非常に控えめな,ちょっと当惑したような形の態度でこたえているというところに,彼の奥ゆかしさといいますか人柄が出ています.彼の業績をそういう面から考えると,世間は少し彼を低く評価しているのではないかという感じもしないでもないのです.21世紀にはシャノンの情報理論が何らかの形でインフラとしての理論になってくるのではないかという思いがあります.


〔辻井〕
 それでは,シャノンとのかかわりで自己紹介を,自分はどういう関係で仕事をしてきたか,あるいは,シャノンに対する評価みたいなものも織り交ぜながら,ひとわたり自己紹介的にやって頂きましょうか.甘利先生からお願い致します.




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