電子情報通信学会会誌

Vol.85 No.1 pp.10-15
2002年1月
片山宗臣 (株)アソボウズ
 E-mail katag@asobous.co.jp

Future Sport Business Using Digital Information Technology.
By Muneomi KATAYAMA, Nonmember (ASOBOUS Inc., Tokyo, 160-0011 Japan).






■1. ま え が き 

 近年いろいろなスポーツにおいてデータという概念が日増しに増加してきた.

 我々は,野球をはじめとしてサッカー,バスケットボール,バレーボール,ゴルフ,ラグビーなどいろいろなスポーツのデータをリアルタイムに収集してインターネット上で配信している.試合を映像ではなくデータで配信することでPCユーザやモバイルでリアルタイムに試合状況を知ることができるようになった.近年には,ADSLや光ファイバ等を利用して各種の試合をインターネット上でもテレビ中継と同じように映像で見ることが可能でデータも同時に選択して見ることができるようになる.


■2. スポーツ観戦について

 そこで今後のスポーツの分野でどのようにITが使われていくのかを考えてみる.スポーツ観戦という点から考えてみるとインフラ面で大きく変り,中継放送の手段としてアナログからディジタルに変ることで中継画像が圧縮され通信帯域が空くのでいろいろなデータを流せるようになった.また画像圧縮技術の向上でかなり品質の高い映像データを送れ,また送られた映像やデータが受け手側で加工ができるようになったことで,今までと違った放送文化が将来生まれてくる.更に放送通信電波そのものについても,いろいろな情報を送信電波に組み込むことで映像やデータの制御が可能にもなり,双方向ができるのでユーザ側からのリクエストを送信側にあげて,希望する映像やデータを手に入れることができるようにもなった.スポーツのデータを収集するシステムについては後述するが,生まれたデータを使ってバーチャル上で今行われている実際の試合に参加していくこともできるのである.スポーツのカテゴリーを個人主体のものと団体で行うものとに分けてデータ収集を考えてみると,入力システムの違いが分かる.例えば野球やゴルフといった個人が主体のスポーツは,比較的にデータ収集は簡単でサッカーやラグビー,バレーボールなど団体競技については,なかなかデータ収集が難しい.またデータもリアルタイムで収集するものと時間を掛けて収集するものとは内容が違ってくる.映像についてもデータとリンクして簡単に必要な映像が取り出せればデータとの相乗効果で利用範囲が広がってくる.野球を例に取ってみると打者は,自分の好不調時のデータと映像を見比べてスイングの良い点や悪い点を見つけたり,また投手にとってみても好不調時の投球フォームを比較してフォームチェックしたり,また配球から投球パターンを読み出して戦い方の検証をすることもできる.


■3. スポーツ中継の放送手段について

 さて話は変るが2002年日韓W杯の日本での放映権をCATVが獲得したことは,スポーツメディアに新たな時代がやってきたことを告げている.多メディア・多チャンネル化の時代,ディジタル放送の開始などや今年の秋から開始されるCS110度ディジタル化も後押しし,スポーツはあらゆる面において格好のソフトとして注目を集めている.更に,インターネットや携帯電話の急速な普及によって消費者は,いつでも手軽に知りたい情報を取り入れ,双方向のコミュニケーションができる手段を手に入れた.そうした背景において,スポーツの見方・見せ方もおのずと変化を遂げている.スポーツを単に娯楽番組として受け止めることなく,視聴者自身が試合を分析・予想できる新たな楽しみ方がそこにはありバーチャル上で試合に参加することもできるのである.




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