■2. フォトニックネットワークの展開
図1 波長多重による伝送システム構成の簡略化と伝送容量の拡大
WDM伝送を前提とした場合,効率的でコストパフォーマンスの高いネットワークを構築するためには,光レベルでのカットスルーを生かしたネットワーク構成とノードの効率化を検討するのが有効である.ネットワーク全体で見たときに一つのノードで処理すべき信号は,そのノードを通過する信号の3割程度との見積りもある.その場合,そのノードに無関係な信号は光のままカットスルーすることでノードの構成をシンプルにし,ネットワークの構築コストを低減することが考えられる.これを実現するためには,低損失な光ノード(光ADMあるいは光クロスコネクト)の実現と長距離伝送技術の確立が必要である. ネットワーク全体での効率化に向けては,ポイントツーポイント伝送からリングネットワーク更にはメッシュネットワークへの展開が考えられている(1),(2).障害回復に対応するための予備経路を最小限に抑え,効率的にネットワークを構築するという視点からメッシュネットワークへの展開が注目されている.メッシュネットワークを構築するにあたっては,光クロスコネクトノードをどのように構築していくかが重要なポイントになる.容量増に柔軟に対応可能なノード構成の設計が,前記した光でのカットスルーの議論と合わせ重要になってくる.更にはトラヒックがデータ中心になるのに合わせ,IPとの連携をどのように進めるかも今後の大きな課題である. ネットワークでの障害回復,更には新しいネットワークサービスの進展に向けては,ネットワークの管理・制御プレーン技術が重要になる.特に,ユーザからの回線開設要求や帯域増減の要求にタイムリーにこたえるFast ProvisioningやBandwidth on Demandを実現することが,ネットワークサービスの価値を高める上で重要である.ネットワーク管理システム(NMS: Network Management System)を中心とした集中管理とGMPLS (Generalized Multi Protocol Label Switching) を中心とした分散制御プレーン技術がうまく機能分担することで,早期に新しいサービスが実現されることを期待したい.特に今後の展開を考える上では,波長ベースのネットワークサービスを可能にするネットワーク構成とその制御技術の確立が重要である.長期的には波長のダイナミックな利用を視野に入れていくことも必要である. 以上に述べたフォトニックネットワーク構築へ向けた展開を,個別要素技術の視点からまとめると表1のようになる.
表1 フォトニックネットワークを支える個別要素技術の展開 |
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