■2. 光 M E M S


 図1に示したように,光MEMS技術は多くの要素技術からなっている.その基礎は,半導体技術,光集積技術,平面導波路技術,マイクロマシニング技術,光実装技術など広い分野にわたっており,それらの幾つかを組み合わせて,特定用途に合わせたデバイスやサブシステムの試作研究が行われている.従来発展してきた光集積回路技術に,マイクロマシニングによる機械的要素が近年加わり,新たな展開を見せている.

 



図1 光MEMS技術により種々な機能素子を集積化し,高機能光集積システムを実現する概念

 

 光のどのような性質を利用して機能を発揮するかに着目して,光MEMSを三つのクラスに分類できる.第1は単純な幾何光学に基づくもので,鏡やレンズを動かして光ビームを走査するスキャナやスイッチ,光ビームの一部を遮る構造の光減衰器などが相当する.第2は,光の波動性を利用するもので,可変ファブリペロー干渉計に基づく可変波長フィルタ/レーザ,変調器,イコライザが代表的である.このほか,各種の可変干渉計や可動回折格子なども種々の応用に用いられている.第3は,いわゆるナノフォトニクス原理に基づくもので,微小開口からのエバネセント光を利用する走査近接場光顕微鏡や超高密度光データストレージ,光ファイバや光導波路のコアからのエバネセント光結合を用いる光センサや光減衰器が研究されている.またフォトニッククリスタルを光MEMSと組み合わせたデバイスも提案されている.

 

■3. 光通信ネットワークへの応用


 光ファイバネットワークの通信量の爆発的需要増に対応するため,ネットワーク中の操作をすべて光領域で行うフォトニックネットワークが提案されている.この実現には,種々の新しいデバイスを導入する必要がある.特にMEMS技術は表1に示すような部分で,不可欠のデバイスを提供する.以下,光通信ネットワークへの応用を目指すMEMSデバイスの研究例を紹介する.

表1 光通信ネットワークでの光MEMS応用



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