■4. P2Pアーキテクチャとの融合

 サービスの移動を行うときなどに,同一のサービスが実現できる端末を動的なネットワーク上で発見する必要がある.P2Pアーキテクチャを利用することで,動的なネットワークにおいてサービスを発見することが可能となる.しかしながら,多くのP2Pで提供されている通信機能はサービス中の通信状態が常に安定していることを前提としている.つまり,サービスを発見するフェーズの後にサービスを提供,享受するフェーズがくる.そのため,サービス中にも通信状況が変化する場合,十分にサービスを連続させることができない.

 例えば,Kontiki(8)のようなP2Pを用いたコンテンツ配信技術により,同一のサービスのできる複数の端末を発見し,同時にダウンロードすることにより,効率化を図る技術が盛んになってきている.しかし,ユビキタスで動的なネットワーク環境では端末はネットワークから切断,再接続を繰り返すため,サービス中にも常にサービスが可能な端末を検索することが求められる.例えば,動画配信中にネットワーク上の近傍に同一サービスを提供できる端末がネットワークに接続されても,多くのP2Pを用いたコンテンツ配信技術ではサービス中はサービスの発見を行わないため,効率の悪い端末に接続し続ける.

 筆者らは動的なネットワーク上で効率的にサービスを発見するためにP2P技術(Jxta(9))のサービス発見機能を利用している.更に,サービス中にもサービス先の端末を再検索するとともに,シームレスプロキシ間の経路をコストで評価し,再検索した端末が現在接続しているサービス先端末より適切なものなら,サービスを継続したままサービス端末を変更する方法を提案している(10).これにより,サービス提供中に各端末(ユーザ側,サービス側,中継)のネットワークアドレスが変化したり,利用端末が変化した場合等にサービス先の端末を再評価し,適切なサービス先の端末に変更することが可能である.

 今後,このように,アプリケーションレベルのサービス連続技術とP2P技術が融合,連携していくことにより,サービスが完全に端末から独立した究極のモバイル環境を構築できるようになるであろう.



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