一方2000年代に入ると,図2で?(はてなマーク)に示しているように,まだ結論は出ていない.本命といわれているのがSOP(System on Package)とSOC(System
on Chip)である.MCMとSOPの違い,SOPとSOCの違いを図3で説明する.例えば,RF IC,ディジタルIC,光ICをパッケージングする場合,それぞれのICを基板上にフェースアップまたはフリップチップで実装し,それぞれを内部配線で接続するのが従来のMCMである.一方,SOPではRF
IC,ディジタルIC,光ICの回路の一部を多層基板上に形成するために,基板とICチップが一体になって初めて一つの回路となり動作するものである.基板と半導体ICでどう役割分担するかは自由であり,例えば能動素子とバイアス回路を半導体ICの方に形成し,残りの整合回路を基板上に形成することも可能である.すなわちSOPの方がMCMより設計の自由度が高いのが特徴である.一方,SOC(System
on Chip)はRF IC,ディジタルIC,光ICをすべて同一の半導体基板上(例えばSi基板上)に形成し,1チップのシステムチップにするものである.携帯電話等で使用される送受信モジュールは次第にSOC化される傾向にある.
(a) MCM : 複数のチップを配線により接続する
(b) SOP : ICとPKGの機能の最適化を図る
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グローバル/スーパインタコネクト
in SOP |
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混合信号
ICs in SOP |
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減混合コンデンサ
in SOP |
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クロック,出力
&接地 in SOP |
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高Qインダクタ
in SOP |
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光導波路 in SOP |
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図3 MCMとSOPの相違点(8)
2.3 Integration(集積化)
集積化の技術は2.1から2.5までの節に共通的な内容であるが,本節では2.2で述べたSOCの観点から半導体ICそのものをどう集積化するのかについてのトピックスを紹介する.
半導体ICそのものを集積化する例として,図4にマスタスライス三次元MMICを示す(9).マスタスライス三次元MMICでは,基本となる(変えることのない)回路素子をあらかじめ半導体基板上に形成しておいて,その他の回路を積層された誘電体上に三次元的に配線し,高集積化を図るものである.マスタスライス三次元MMICは,製造に時間のかかる半導体部分を先に作ってしまうことができ,しかも回路部分の製造は余り時間を要さないので,開発時間を短縮できる特徴がある.ここで電気的な側面から見ると,多層配線された線路や回路素子の解析,データベースの構築,クロストークの低減が課題になる.
集積化する場合の問題点としていつも取り上げられるのが,クロストークである.図4のマスタスライス三次元MMICやSOCなどでは超小型の半導体チップ上に多層配線するために,線路間や素子間の結合,半導体基板上の素子間,入出力端子間にクロストークが存在し,性能の劣化,不安定な動作の原因となる.この問題点を解決する手法として,SOCの半導体基板を加工してストリップ線路を作る試みがなされている(10).図5にSOCにストリップ線路を形成した例を示す.2層のポリイミド膜を用いてストリップ線路を構成することにより,クロストークの低減を図っている.
図4 マスタスライス三次元MMIC(9)
図5 SOCにストリップ線路を形成した例(10)
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