森嶋氏は「大国の興亡」のように,日本の技術開発力には触れていない.このように21世紀の日本を悲観的に考えるのも寂しいが,未来の予測は難しいことも述べている.この節では文献(2)の見解と併せて紹介する. 「日本はなぜ行き詰まったか」
この結果得られたのが,日本は「生活水準は相当に高いが国際的には重要でない国」になっている,という先の予測である.1930年の金融大恐慌から1982年の繁栄が予想できないのと同じように,例えば2004年の衰退期のローマに似た日本から2050年のハイテク国家は予想できないのではないだろうか. 「ヒトはなぜヒトを食べたか」(2)
生物の進化という物理現象に対しても,「現行の秩序を容認するか拒否するか変革するかといった個人の決定は,それぞれ進化において特定の結果が生じる可能性を変化させる」のである.「日本との技術開発競争の熾烈さはソ連との政治および軍事競争の比ではない」,というくらいの危機感をもってすれば,国家資本主義から競争資本主義への移行に50年は要しないのではないか. |
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