CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)も電子情報メディアの主役とし て定着してきた.国際学会の論文集が CD-ROM に収められて発行されるように なった.厚さ 10 cm を超える紙の論文集の存在感と重みは古い世代の我々に は懐かしいが,1 枚の CD に数千ページのイメージが収まり検索機能も充実し たものを見るとその有効さは否定できない.ノートパソコンと CD の時代を実 感する. 学会誌,論文誌(和文,英文)の発行は本学会の重要な機能であり 事業である.英文誌も数年の間に年間 8,000 ページを発行するまでに成長し た.特集論文,技術レビューなど日本から世界への情報発信の場として充実し てきている.また,アジア諸国からの投稿が増えてきており国際化が進んでい る.本学会の出版誌の1年分を積み重ねると数十 cm の高さになる.更に,大 会論文集,研究会での発表もそれぞれに年間数千件と活発である.技術交流の 場として,また,その発表内容は速報としての情報の価値が高く,ネットワー クを通して情報流通が望まれるものである.リアルタイムで研究会情報を流す 試みも始まっている.
情報流通の社会システムとして,情報センター,電子図書館の開発が進めら れている.データベースの構築,著作権の保護など課題は多いが,必然の方向 であろう.情報の価値に対する評価と適正な対価を支払うこと,そのためのシ ステム技術を確立し,社会の仕組みを構築することが必要である.情報通信分 野の中心的存在である本学会がこのような新しい時代へ向けて率先して対応し ていくことが社会的責任であり,期待されていることであろう.