一方、我々企業体の実状をみるに情報化が急速に浸透してきて、今や情報化 の手段なしには事業を推進できない現状にもある。大学・研究機関においても 科学技術基本法の追い風を受けて、ここのところ急速に情報化インフラストラ クチャが整備されてきている。つまり学会の会員が所属している組織の情報化 が進展してくると、相対的に学会事務局の情報化体制の遅れが目につくように なり、会員各位への各種サービスの提供にも相対的不足感が生じてきている。 情報化はまさに本学会がカバーすべき技術領域であり、この分野における本学 会のリーダシップが期待されていることから、その期待にこたえ得る学会電子 化の実質的推進が望まれる状況である。
この点に関しては、既に歴代の委員会で議論がなされてきており、論文投稿 のフロッピー化等実行に移されてきたものもある。電子化・情報化の方向につ いては異論のないところであるが、現実には予算の制約と、事務局職員の情報 化教育をどうするかといった中期課題もあり、限られた範囲の電子化にとどま らざるを得なかった。一例として、論文投稿のフロッピー化も定着してきたも のの、現在はテキストベースに限られ、かつせっかくのネットワークを利用し た活用のあり方が実現できていない。このほか、電子的学会発表手段、電子的 研究会、電子出版、会員管理、学会財政の管理など、学会の明日の発展をもた らすツールとしてのインフラ整備が緊急の課題である。これに伴って事務局職 員の情報リテラシー強化を図る必要があるが、これは負担増と考えるより、情 報化新時代に対処していける能力が身に付くわけで、むしろ活力の向上と学会 の活性化の要因と考えるべきであろう。
学会の情報化のあり方として、理想論は理想論として議論を尽くすことは重 要であるが、一方情報化の進展速度は余りにも速いので、環境の許す中での 「現実解」を求めていかないと、いつまでも情報化の効用を享受できないこと になってしまう。既に、今期学会の電子化推進の委員会もこの「現実解」に、 向けて鋭意検討を進めて頂いており、間もなくその結論を頂くことになってい るが、予算手当てのできるところから実行に移していきたい。