The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers


本学会における電子化の推進

会長 金子尚志

本学会の会長に就任してから半年が経過した。ソサイエティ制も定着してき て、学会の本来の活動も歴代役員をはじめとする方々の積み重なる御努力の結 果、活性化の実が上がってきていることは御同慶に耐えない。

一方、我々企業体の実状をみるに情報化が急速に浸透してきて、今や情報化 の手段なしには事業を推進できない現状にもある。大学・研究機関においても 科学技術基本法の追い風を受けて、ここのところ急速に情報化インフラストラ クチャが整備されてきている。つまり学会の会員が所属している組織の情報化 が進展してくると、相対的に学会事務局の情報化体制の遅れが目につくように なり、会員各位への各種サービスの提供にも相対的不足感が生じてきている。 情報化はまさに本学会がカバーすべき技術領域であり、この分野における本学 会のリーダシップが期待されていることから、その期待にこたえ得る学会電子 化の実質的推進が望まれる状況である。

この点に関しては、既に歴代の委員会で議論がなされてきており、論文投稿 のフロッピー化等実行に移されてきたものもある。電子化・情報化の方向につ いては異論のないところであるが、現実には予算の制約と、事務局職員の情報 化教育をどうするかといった中期課題もあり、限られた範囲の電子化にとどま らざるを得なかった。一例として、論文投稿のフロッピー化も定着してきたも のの、現在はテキストベースに限られ、かつせっかくのネットワークを利用し た活用のあり方が実現できていない。このほか、電子的学会発表手段、電子的 研究会、電子出版、会員管理、学会財政の管理など、学会の明日の発展をもた らすツールとしてのインフラ整備が緊急の課題である。これに伴って事務局職 員の情報リテラシー強化を図る必要があるが、これは負担増と考えるより、情 報化新時代に対処していける能力が身に付くわけで、むしろ活力の向上と学会 の活性化の要因と考えるべきであろう。

学会の情報化のあり方として、理想論は理想論として議論を尽くすことは重 要であるが、一方情報化の進展速度は余りにも速いので、環境の許す中での 「現実解」を求めていかないと、いつまでも情報化の効用を享受できないこと になってしまう。既に、今期学会の電子化推進の委員会もこの「現実解」に、 向けて鋭意検討を進めて頂いており、間もなくその結論を頂くことになってい るが、予算手当てのできるところから実行に移していきたい。


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