The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers


夢を抱いて進もう

会長 長尾 真

 新年明けましておめでとうございます.

 いよいよ 21 世紀の幕開けが実感される年になってきました.21 世紀は情 報化社会の時代といわれておりますが,それはとりもなおさず我々の電子情報 通信学会がますます中心的役割を果たさねばならない時代になるということで あります.時代が困難であればあるほど,我々は将来に対して大きな夢を描き, 前向きに物事をとらえ,頑張ってゆく必要があります.

 国もようやく情報通信基盤の整備の重要性を認識しはじめ,平成 11 年度予 算に情報通信に関する研究開発の推進事業を盛りこんでおります.

 既にはっきりしているこれからの大型技術として,高度道路交通システム (ITS)や電子商取引(エレクトロニクスコマース),ディジタルテレビなどが ありますが,これらはいずれも高速ディジタルネットワーク技術,コンピュー タ技術,ワイヤレス技術などが深くかかわっております.またその背後には, 高性能情報処理のための各種の素子の開発や,システム関係理論,情報の基礎 理論などが存在しており,我々電子情報通信学会があらゆる面でリーダシップ を発揮すべきものであります.

 更にもう少し先を考えてみますと,いわゆる人にやさしい情報機器の研究開 発があります.年齢を問わず,また身体に障害のある人達も,だれでも易しく 使える機器とそのヒューマンインタフェースの開発が必要で,小型軽量,ポー タブル,高性能,マルチメディア処理,更にはユーザの能力と慣れに自動適合 して,人と仲良くする機器といったイメージのものであります.

 国際化時代で,ボーダレスにすべてのことが行われてゆく中で,固有の文化 を守りながら,その価値を他に認めさせつつ,お互いに自由にコミュニケーショ ンができるようにするためには,言語の自動的な翻訳をはじめとする種々の言 語技術も大切であります.アメリカでは既にこういったヒューマンインタフェー スの方向へ研究開発のシフトが起りつつあります.

 いずれにしても,これからの国際社会で重要な活躍をすべき日本にとっての 基盤技術を提供すべく,大きな夢と希望を持って我々の学会が発展することを 期待いたします.

 会員の皆様もそれぞれに御活躍されますようお祈りし,新年のごあいさつと いたします.


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