The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers


会員として・役員として

総務理事 倉本 實

昨年に本学会の総務理事に就任して早くも1年が過ぎました.当初は,長年の間ノンアクティブに近い会員であった自分として,何かしら本学会の運営に貢献して罪滅ぼしにでもなればと考えながらスタートしました.しかし,現実にはその容易ならざるを思い知らされました.それでも,役員2年目で“先任”の立場に立った今年は,それなりにお役に立たなければと思います.

 学会運営の抱える問題は山積していますが,その解決策の多くは,比較的に若い世代のアクティブ会員を中心とする活動の活性化にあると思います.比較的に年輩者に多いノンアクティブ会員でも,若いときの学会活動への参加の経験に支えられて学会員として踏み止まっているケースが多いと考えるからです.

 そうはいっても,本学会の行方を憂える先輩会員諸氏から「一体,最近の学会は何をやっているのか」という厳しい御批判が聞かれます.ここでは,自分自身が会員の一人として最近感じていることの幾つかを挙げさせて頂きます.

 毎月に手元に届く会誌・論文誌を見て,紙面のA4判化は有り難いと思います.今後は,既に段階的に導入が進められているインターネット利用の「IEICE Transactions Online」中心への移行も必須ではないかと実感します.また,いずれは和文論文誌を英文論文誌に統合して一本化する時期の到来を念頭に入れなければと思います.

 英文論文誌において,アジア諸国を中心とする海外会員の論文が増えていることも歓迎・助長すべきだと思います.国際化・グローバル化の要諦は,相手をいかに受け入れられるかにあると考えるからです.この場合,IEEE等と比して本学会の特徴をいかに出すかにポイントがあります.基礎から応用の幅を広げて,いわゆる「システム開発論文」をタイミング良く思い切って多く採録するのも一方策だと思います.

 毎日PC上にあふれるEメールの中に,時には本学会から一般会員あてのものがあってもよいのではと感じます.それにより,会員意識の向上が少しでも進むとともに,会員による本学会のホームページへのアクセスや本学会あての意見・提案が促されればと思います.

 最近氾濫しているビジネスとしてのセミナー類に,本学会員を講師としているものや,本学会自体が主催した方がよいと考えられるものが多々見受けられます.会員優先サービス,学会財務運営等も考慮しつつ,種々の形態での学会主催のセミナー,講習会等を増やしてはどうかと思います.

 教育界・産業界等と協力した技術者の育成や生涯教育,青少年を主対象とした教育・広報的活動,一般社会に向けた本学会としての提言等,社会貢献は今後ますます重要になると思います.

 大改革・大競争時代における学問・技術分野と社会の構造的変化に対応すべく,本学会として近隣の関連学会との統合を視野に入れるのは必須だと思います.特に,IT革命に伴う時代的要請に的確・機敏に即応する必要があります.IEEE等との微妙な競合・協調関係も考慮に入れた課題です.

 以上,一会員としての雑感を大小含めて幾つか羅列させて頂きましたが,役員の一人に立ち戻れば肩の重荷を感じます.すべてオープンな議論でコンセンサスを得て進めたいと思います.会員の皆様には忌憚のない御意見・御提案をお寄せ頂くとともに,一層の御支援・御協力をお願い申し上げます.


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