【 若い研究者・技術者に寄せて ──成果蓄積方法論のすすめ── 】




5. お わ り に

 以上私の若いころの研究生活から産み出した技術蓄積の方法論と,その経営場面における活用について述べてきた.そもそも思いつきの改善手法から始まった生活の知恵にすぎないが,「整理学ノウハウ」として便利であったのでかなり徹底して継続活用してきた.44年間効果的に活用してくれば「方法論」といっても許されるだろうし,逆に永続に耐え得る方法論を産み出してきたともいえるであろう.永年資料を蓄積してきたことも幸いであったが,何といっても会社人生の終点に至ったからこそ本稿をまとめることができたといえよう.

 方法論というものは本来自らの苦労・経験の中から産み出されるべきものだが,年輩者の経験談からそのきっかけをつかんでもらうのも一つであろう.「蓄積方法論」だから若いうちから始めるに越したことはない.拙文が若い研究者・技術者の参考に供することができれば幸いである.

 この機会に44年間情熱と苦難をともにしてきた多数の方々に感謝する.




金子 尚志(かねこ ひさし)「名誉員」

1956東大・工・電気卒.
NEC中央研究所入社.19年間ディジタル通信の研究に従事.
この間1968〜70 Univ. of Calif., Berkeleyに留学・修士,
1967工博.1968〜70ベル電話研究所勤務.
1975年伝送通信事業部に異動.
1979事業部長,
1985取締役,
1989常務兼NECアメリカ社長(米国駐在),
1993専務,1994〜99 NEC社長,1999相談役.
1986本会業績賞,1997会長,1999名誉員.
1996テレビジョン学会会長,1998功績賞,1999名誉会員.
1992 IEEE アームストロング賞,1999国際通信賞,現在Life Fellow.
1990科学技術庁長官賞.日本工学アカデミー会員,
米国National Academy of Engineering外国会員,
本年より日本学術会議会員.


3/3

| TOP | Menu |

(C) Copyright 2000 IEICE.All rights reserved.