表4 通産省米国医用生体工学ミッションの訪問先(1999)

分野
政府機関
大学
研究所
ベンチャー企業
(T)医用生体工学
-

・Harvard Medical School
(Brigham and Women's Hospital)
・Johns Hipkins University
(Center for computer-Integrated Surgical system and Technology)

-
-
(U)細胞・組織工学
・National Institute of Standards and Technology
・Food and Drag Administration(Center for Biologics Evaluation and Research)
・FDA (Division of Viral Products)
・Georgia Institute of Technology
(Parker H.Petit Institute for Bioengineering and Bioscience)
-

・Ontogeny Inc.
(Washington)
・Advanced
Tissue Sciences Inc.
(San Diego)

(V)遺伝子工学
・National Institute of Health
(National Human Genome Research Institute)
・Massachusetts Institute of Technology(White Head Institute)
・University of Washington(Dept of Molecular Biotechnology)

・The Scripps Research institute
(Dept. of Chemistry and Molecular Biology)

・Genzyme Molecular Oncology(Bostom)
・Applied Precision Inc.
(Seattle)

表5 通産省欧州医用生体工学ミッションの訪問先(2000)

分  野
研究センター/研究所 大学/リサーチベンチャー
遺伝子・細胞工学、バイオインフォマティクス ・The Karolinska Institute
(Center for Genomic Research)
・Max-Delbruch Cenerum fur Molecular Medizin
(Berlin-Buch)
・German Cancer Research Center
(Division Biophysics of Macromolecules)
・The Sanger Center
・The European Bioinfomatics Institute`
・Bio Tools GMBH
医用生体工学
生体ハイブリッド工学
・Max-Planck Institute (Molecular Genetic) ・University of Stuttgart
(Institute of Biomedical Engineering)
・Cranfield University
(Institute of Bio-science and Technology)
・University of oxford(Oxford Heart CentermJohn Radcliffe Hosital)
研究管理・評価 ・Bio-Top
(MPI Molekulare Genetik BMBF(Ministry Res. & Edu.))
・Institute Pasteur(Laboratoire de Biophysique)
・Cardiff University

2.1 新医療技術の研究・開発推進のための環境整備

――欧米の現状――

 通産省ミッションの団長として,1999年秋に米国の政府機関,大学,研究所,ベンチャー企業など14施設(表4),更に2000年秋には欧州の12施設(表5)を視察する機会を得た.

 (1) 分子生物学応用とNIH (National Institution of Health)・BECON

 今日米国においてはDNAを中心とした分子生物工学の医療技術への融合化が本格的に開始されている.これに対し我が国は,周辺科学技術を横断的に融合化する壮大な研究概念が欠落している.米国では,バイオテクノロジーを含めた“ヘルスケアインダストリー”を21世紀の最優良産業として位置づけ,その推進役として,NIHの中に“BECON”と呼ばれる新しい組織を発足させた.BECONは,NIH内の多数の研究機関をBioengineeringという横糸でつなぎ,医工連携して新しい医療技術を研究・開発する司令塔であり,バイオテクノロジーを基盤とした新たな“ヘルスケアプロダクツ”を創出することをねらっている.

 (2) 大学におけるBioengineering領域の拡大

 従来の工学,理学,生物学などの垣根を取り払い,同一施設内で異なる領域の研究者が共通して教育を受け,共同研究を行っている.同様の動きは全米の各大学に見られる.そこには研究に最も適する人材が広く世界各国から招集されている.

 (3) 組織工学とベンチャービジネス

 ハーバード大学Greenらによる皮膚表皮細胞の重層化の細胞培養技術(1975年)に端を発したCellular Engineeringは,1987年に全米科学財団(NSF)が一大パネルを開催して“Tissue Engineering”として総括したことにより,本格的研究が開始された.1990年代に入ると企業化が一気に加速した.組織培養の重要な因子である幹細胞(Stem cell),scaffolds(足場)としてのマトリックス材料,細胞の成育過程を制御するサイトカインといった基本的要素を手中にしたベンチャー企業が“現代の錬金術”ともいえる生体組織の大量生産を開始している.


 
2.2 第4世代のMBEが目指すもの

 第4世代のMBEは,恐らく図3に示す流れの中で(MBE)2領域に突入するものと思われる.かつて元素の周期律表を手に入れることにより化学は急速に進歩し,これにエンジニアリング技術が加味されることにより化学プラントが構築され大量生産に成功した.(MBE)2領域形成の重要要素であるゲノム情報に関しても,周期律表に相当するいわば「地図」を入手したわけであり,今後はこれらの基盤科学を融合化させて医療技術として本格的産業を開花させる時代に突入したものと確信する.









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