電子情報通信学会会誌

Vol.85 No.5 pp.370-377
2002年5月

江村克己 正員 日本電気(株)第一光ネットワーク事業部
E-mail k-emura@ap.jp.nec.com

野島 聡 正員 (株)富士通研究所ネットワークシステム研究所
E-mail nojima@jp.fujitsu.co

Key Technologies for Photonic Networks.
By Katsumi EMURA, Member (1st Optical Network Division, NEC Corporation, Kawasaki-shi, 211-8666 Japan) and Satoshi NOJIMA, Member (Network Systems Laboratories, FUJITSU LABORATORIES LTD., Kawasaki-shi, 211-8588 Japan).




フォトニックネットワークの鍵となる技術




 フォトニックネットワークへ向けた展開とそれを支える基盤技術について紹介する.基幹ネットワークは,データトラヒックを中心として更なる大容量化が今後も進展すると想定される.その効率的な実現のためのネットワーク構成とそれを支える伝送技術,ノード技術につき,今後研究開発が目指すべき方向について議論する.光領域でのブレークスルー技術の実現への期待も大きい.新しいネットワークサービスの実現に向け,新たな展開が期待されるネットワーク制御技術についてもその動向をまとめる.

キーワード:波長多重(WDM)伝送,光クロスコネクト,メッシュネットワーク,ネットワーク制御,MPLS


■1. は じ め に


 既に本特集の多くの記事で述べられてきたように,フォトニックネットワークの進展が今後のネットワークサービスに大きな変革をもたらすと期待されている.一方で,ITバブルの崩壊はネットワーク構築の進め方についての再考を促している.一時の非常に楽観的なトラヒック増のシナリオは最近見られなくなってきているとはいうものの,今後も新しいネットワークサービスの出現に伴い,トラヒックは着実に伸びると予想するのが最近の主要な見方である.このような状況を考えると,当面は,いろいろな面で効率の高いネットワークを構築することが重要と考えられる.高性能で伝送コストの小さいネットワークを構築するのはもちろんのこと,オペレーションコストの削減,新しいエンドユーザサービス開拓とその短期間での提供等が求められるようになってきた.本稿では,このような要求を満たしていく上でフォトニックネットワークが今後果たすべき役割を明確にするとともに,フォトニックネットワークを構築する上で必要となる基盤技術について概観する.



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