■2. QoSの保証レベル


 アドミッションコントロールを検討するにあたって,QoSの保証レベルを明確にしておく必要がある.フローに対するQoSの保証レベルとして,以下の分類が考えられる(3)

 (1) 保証サービス(Guaranteed service)

 QoSの最悪値を保証するものである.ハード保証とも呼ばれる.フローのトラヒック特性に基づいて,最悪条件における全フローの振舞いを計算することにより,アドミッションコントロールを行う.フローのトラヒック特性がスムースな場合,妥当なネットワーク効率が得られるが,バースト的な場合,低効率となる.

 (2) 確率サービス(Probabilistic service)

 トラヒックの統計的な特性に基づきQoSが規定値より劣化する確率を一定値以下に抑えるものである.これにより,バースト的なトラヒック特性に対してもネットワーク効率の向上が期待できるが,正確なトラヒック特性,QoS条件を得ることは一般に困難である.

 (3) 予期サービス(Predictive service)

 QoS規定を定性的に与えるものである.個々のフローに関しては,定量的なQoS保証を与えないが,例えば一定期間内では,ある程度のQoSを保証する.IntServにおけるControlled Load Serviceは軽負荷のベストエフォートネットワークが提供するサービスに相当するものであり,予期サービスの一例といえる.

 多くのアプリケーションでは短時間のQoS劣化に対応することはある程度可能であり,必ずしも,厳密なQoS保証を必要とするわけではない.予期サービスをターゲットとすることにより,アドミッションコントロールに求められる厳密さを緩和できる.その結果として,ネットワークの利用効率向上が達成されると考えられる.スケーラブルなアドミッションコントロールの実現にあたっては,通常,予期サービスの提供がターゲットとなる.


■3. スケーラブル化へのアプローチ


 アドミッションコントロールのスケーラブル化へのアプローチとしては,従来,IntServの適用をアクセスネットワークに限定したり,リソース予約のためのシグナリングを軽量化するアプローチが検討されている.新たなアプローチとして,エンドポイント方式が提案されており,パッシブ方式とアクティブ方式に分類される(図1).

 


図1 アドミッションコントロールのスケーラブル化へのアプローチ
従来IntServの適用をアクセスネットワークに限定したり、シグナリングを軽量化する方法が検討されている.新たなアプローチとしてエンドポイント方式が提案されている.


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