電子情報通信学会誌 Vol.87 No.3 pp.207-214 2004年4月 |
仁木和久 正員 産業技術総合研究所脳神経情報研究部門 |
Kazuhisa NIKI, Member(Neuroscience Research Institute, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, Tsukuba-shi, 305-8568 Japan) |
磁気共鳴画像(MRI)を使うことにより,健常なヒトの脳構造や機能を正確に測定できる.本稿では,「脳をみる」のに使われるMRIの原理や性能,その解析処理の概要を紹介し,更に雑音の多い膨大なMRI信号からの脳機能結合情報の抽出などの重要な課題が残されていることを指摘する.次いで,インサイト(洞察)等高次な認知機能に伴う「脳活動を見る」ことができることを紹介する.従来,ヒト知能現象の科学的探求は難しかったが,知能を構成する脳からの豊富な実験データに基づいて,ヒト知能の科学や技術の構築が可能になりつつあることを是非実感して頂き,若い研究者がこの魅力ある研究分野に参加・貢献されることを期待する. ■1. は じ め ヒトの脳の構造と機能を非侵襲に計測する手法としてMRI(磁気共鳴画像:Magnetic Resonance Imaging)が注目を浴びている.「体を開けずに,その内部が見られる」意義は大きく,2003年ノーベル医学賞(注1)が,MRI関連研究に与えられた. |
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