あらまし

将来の災害に備えた新たな情報通信技術体系

村井 純 

Vol.95 No.3pp.259-264

発行日:2012/03/01

Online ISSN:2188-2355

Print ISSN:0913-5693

種別:特集 東日本大震災からの復興の取組みと震災から得た教訓

専門分野:

キーワード:
東日本大震災インターネットロバスト性とルーチングオーバレイネットワーク

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あらまし:
情報通信技術のロバスト性は,災害時などでも情報通信基盤がそのサービスを持続可能なことにある.インターネットは,ディジタルデータのためのパケット交換を自律分散的に実現することにより,高いロバスト性を達成できることを目的として設計された.1980 年代から普及を開始したインターネットによるディジタル通信網は20 年を経てグローバルな情報通信基盤を形成するとともに,グローバル情報社会の基盤ともなった.ディジタル情報で時空間を超越するインターネットの空間は仮想空間と呼ばれインターネットの発展途上では生活空間の実空間と意識的に区別されていた.しかし,グローバルな基盤性をほぼ達成すると社会的な応用範囲が拡大し,地理的な位置情報や時刻情報などが積極的に利用され,仮想空間と実空間の融合という意味で「サイバーフィジカルシステム(用語)」として融合的に議論されるようになった.また,インターネットは人のコミュニケーションを発展させるとともに,センサやものの接続基盤となった.そこからは,膨大な情報が実時間的に発生する.実質的に無限の情報が発生し,これを有効利用するためのビッグデータの議論も始まっている.衛星通信や測位衛星を含め,地球規模,すなわち,惑星規模の通信体系に加え,惑星間通信もインターネットの応用範囲となった.惑星間通信は,高遅延で不確定なノードとリンクを前提としており,ここから「とにかく伝達する」という日和見形ネットワークの技術群が発展している.
ここでは東日本大震災後の情報通信の発展状況とこのようなディジタル通信技術の変遷と新しい発展を前提として,将来の災害に備えた新たな情報通信技術体系を議論する.

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