量子電流標準を目指して
Vol.98 No.10pp.911-916
発行日:2015/10/01
Online ISSN:2188-2355
Print ISSN:0913-5693
種別:解説
専門分野:
キーワード:
量子電流標準, 単電子素子, メトロロジートライアングル,
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あらまし:
電圧,抵抗,電流などに代表される電気量の精確な測定は,日本の高度な産業技術を支える重要な基幹技術である.このような電気量の精密測定を担保する“電気標準”は,基礎科学,とりわけ量子力学と密接に結び付き発展している.具体的には現在,抵抗標準が量子ホール効果によって実現され,電圧標準がジョセフソン効果によって実現されている.
一方で残された電流標準を量子力学的な現象によって実現しようという取組みも長年行われてきており,とりわけ近年理論的,実験的に様々な提案がなされ目覚ましい進歩を遂げている.本稿では量子電気標準と量子電流標準をレビューし,筆者らが最近行っている半導体や超伝導で作製された単電子素子を用いた量子電流標準の研究について紹介する.併せてメトロロジートライアングルや単電子検出,微小電流計測の可能性など今後の展開についても紹介する.