■4. 大容量ノード構成技術


 効率的なネットワークの実現に向けては,3.までに述べた伝送技術に加えて,これら伝送路を有機的に結合しコストパフォーマンスの高いネットワークに構築するノード技術も重要となる.そこでは昨今のトラヒックの急増を支えるIPトラヒックとの親和性も十分考慮される必要がある.本章では,光レベルのカットスルーなどを可能とする光ノードについて,特に大容量化の方向とそれを実現するための要素技術を併せて議論する.

 4.1 実現技術

 (1) ノード技術
 図3は,北米のバックボーンネットワークにおけるインターネット帯域需要の予測(5)を基に,10Gbit/sの波長パスが16ノード間でフルメッシュに設定された場合に必要となるスイッチサイズを示したものである.対地間に1本ずつ波長パスが設定される場合,バックボーンへの流入トラヒックは2.4Tbit/sであり,文献(5)では2001年のトラヒック量に相当する.この場合,スイッチサイズとしては64×64程度となるが,トラヒックの年率上昇率を2倍と想定した場合,6年後には4,000×4,000の大規模なスイッチの必要性が指摘できる.一方で伝送路の超多波長化も進展が予想されるため,それら多波長を交換/編集可能とするためにも,光クロスコネクト(OXC)の大容量化は一層重要性を増すと考えられる.

 

図3 OXCの所要スイッチサイズ

 

 このためのノードの構成には,一つにはそのキーデバイスである光スイッチの大容量化が望まれるとともに,アーキテクチャ面でのアプローチも必要であり,その考慮すべき点の一つは編集単位と考えられる.一つのノードで扱うトラヒック量が増大すると,同じ対地ノードに向かう波長パスの増加も想定し得る.したがって,同じあて先への複数の波長パスが1本のファイバの中を通過することになるため,その複数の波長パスを群(6)として分波・合波を行い,光スイッチを用いて波長多重のままルーチングする方式が考えられる.それが図4に示す波長群単位で切り換える波長群OXCという考え方である.波長群OXCの適用例として,複数の局内インタフェースからの波長パスを波長群に集線を行い,中継ノードでは波長群OXCにより波長群単位のままルーチングする階層化OXCの例を図5に示す(7).更にこの考え方を進めた場合,同じあて先への波長パスが1本のファイバを占有することになり,分波及び合波する必要性も低下することが考えられ,この場合はファイバ単位で切り換えるファイバ切換型OXCとなる.波長群OXC,あるいはファイバ切換型OXCは,それが多重化された波長を編集単位とするがために,トラヒック量とスイッチファブリックのサイズが独立とできるため,装置の小型化に寄与するとも考えられる.これらの考え方を組み合わせ,ファイバ切換型OXC,波長群OXC,波長パスOXCの階層化を考慮したノード構成も考えられている(8)

 

図4 波長群OXCとファイバ切換型OXCの概念

 


図5 波長群/波長パス階層型光クロスコネクトの一例(文献(7)による)



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