■4. サイトへの反響

 図3はセンターのホームページに対する月別のアクセス状況(ページビュー)を示したものである.その半数以上が『ティップス先生』へのアクセスである.FD(Faculty Development)活動における紹介や新聞,雑誌,テレビを通した紹介などによって,月ごとのアクセス数にばらつきはあるが,公開後のアクセスは多いといえよう.アクセスしたコンピュータのホスト名を分析すると,名古屋大学内のコンピュータからのアクセスは全体の約18%である.アクセスの絶対数を考慮すれば,学内教員からのアクセスが少なかったというよりも,むしろ学内からのアクセス以上に学外からのアクセスが多かったと解釈できるであろう.

図3 センターのホームページへのアクセス数

図3 センターのホームページへのアクセス数
(2000年3月「ティップス先生」公開)



 『ティップス先生』は,様々なオンライン上のサイトで紹介され,リンクもはられている.その結果,名古屋大学外からのアクセスが大幅に増加したと考えられる.『ティップス先生』へリンクを張っているサイトは,現在確認できるものでも80以上のサイトがある.リンク元のサイトは,大学のサイト,大学以外の教育機関のサイト,個人のサイトなど様々である.それらのサイトにおけるコメントの多くが『ティップス先生』の内容に対して肯定的なものである.また中学校や高校の授業や塾などの講義においても応用が可能であるとの指摘もある.一方,学生の学習の視点を取り入れてほしい,具体的な例を充実してほしい,大学で組織的に活用できるのかといった,今後の期待や課題を指摘したものもある.


■5. 公開後のサイトの成長

 サイトの公開以降,「成長する」というコンセプトに沿って,細かな内容の追加や修正を続けてきた.学内教員から授業のノウハウの投稿も受け取りサイトに追加した.しかし,センターが『ティップス先生』を用いてFD活動に本格的にかかわることになるにつれ,広範囲にわたって内容を改訂する必要性が高まった.2001年度にセンターにおいて改訂プロジェクトが立ち上げられ,2001年12月に『ティップス先生Ver1.1』を公開することができた.主な改訂点は,不十分であった箇所の修正,「授業の基本」第10章の追加,新規コラムの追加,「情報への窓口」の充実化,「みんなの広場」の学外への公開,全体のデザインの変更である.『Ver1.1』から学外に公開した「みんなの広場」は,以前より投稿数が増加した.まだ改善点は尽きないが,教育改善に関心をもつ者が参加するコミュニティが電子掲示板を通して形成されつつあるといえよう.今回の改訂によって,国内外の同様な目的をもったサイトと比較しても遜色ないサイトに仕上がったといえる

 また,『ティップス先生』において重視したコースデザインをオンライン上で実践できる『ゴーイングシラバス』を2001年3月に開発した(図4).『ゴーイングシラバス』はプラットホームとコースウェアからなるオンラインシステムである.『ゴーイングシラバス』によって,シラバスを基点としたコースデザインのコンセプトを体験することができる.2001年度には学内外の25の授業において『ゴーイングシラバス』が用いられた.

図4 ゴーイングシラバスの画面

図4 ゴーイングシラバスの画面


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