■4. 審査の方針と基準

 公募と審査の模様について少し見てみよう.公募は学問分野を(1)生命科学,(2)医学系,(3)化学・材料科学,(4)数学・物理学・地球科学,(5)情報・電気・電子,(6)機械・土木・建築・その他工学,(7)人文科学,(8)社会科学,(9)学際・複合・新領域の9分野に便宜上分類して,昨年は奇数番の5分野を,今年度は残りの分野プラス学際・複合・新領域を公募した.昨年度の予算額は182億円であった.それぞれの分野ごとに審査・評価部会が構成され審査を行った後に,総合評価部会ですり合せを行い,更にプログラム委員会で承認後,文科省に具申される.文科省は最終決定を行い,予算を配分する.個々の審査の具体的な事項に関しては述べることはできないが,昨年の情報・電気・電子分野の審査状況について差し支えない範囲で述べてみる.公募件数は78件で,採択件数は20件(表1)であった.採択件数については予算との関係で決まるわけであるが,本プログラムの性格上,充足率が減っても本当に世界水準の研究教育拠点として育成すべきものをできる限り多く採択するという方針を貫いた.その結果,他の競争的研究資金に比して極端に充足率が低いものが出たが,拠点での研究は他の競争的な資金などをもって遂行されることを前提にして,他の研究費ではまかなえないような拠点を形成するための経費を支給するという立場に立っている.わずか2億円足らずの研究費ではCOEは形成できないという意見をよく聞くが,それは本予算の性格を理解していない発言で,世界レベルの研究をやっているグループは当然他からの研究費が既に多く投入されていると考えている.


表1 情報・電気・電子分野の21世紀COE(平成14年度採択)
<情報,電気,電子>(20件)
大 学 名
拠点のプログラム名称
拠点リーダー
氏  名
北海道大学 知識メディアを基盤とする次世代ITの研究 田中 譲
東北大学 新世代情報エレクトロニクスシステムの構築 内田龍男
東京大学
情報科学技術戦略コア 田中英彦
東京大学
未来社会を担うエレクトロニクスの展開 保立和夫
東京工業大学
フォトニクスナノデバイス集積工学 荒井滋久
横浜国立大学
情報通信技術に基づく未来社会基盤創生 河野隆二
名古屋大学
先端プラズマ科学が拓くナノ情報デバイス 菅井秀郎
名古屋大学
社会情報基盤のための音声映像の知的統合 末永康仁
豊橋技術科学大学
インテリジェントヒューマンセンシング 石田 誠
京都大学
知識社会基盤構築のための情報学拠点形成 上林弥彦
京都大学
電気電子基盤技術の研究教育拠点形成 荒木光彦
大阪大学
ネットワーク共生環境を築く情報技術の創出 西尾章治郎
奈良先端科学技術大学院大学
ユビキタス統合メディアコンピューティング 千原国宏
広島大学
テラビット情報ナノエレクトロニクス 岩田 穆
九州大学
システム情報科学での社会基盤システム形成 前田三男
慶應義塾大学
アクセス網高度化光・電子デバイス技術 真壁利明
中央大学
電子社会の信頼性向上と情報セキュリティ 辻井重男
早稲田大学 プロダクティブICTアカデミアプログラム 村岡洋一
名城大学 ナノファクトリー 飯島澄男
立命館大学 マイクロ・ナノサイエンス・集積化システム 杉山 進


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