Open Access
来るべき超ネットワーク化社会を支える新たなネットワーク基礎理論の胎動
Vol.100 No.12pp.1379-1384
発行日:2017/12/01
Online ISSN:2188-2355
Print ISSN:0913-5693
種別:創立100周年記念号
専門分野:
キーワード:
スペクトルグラフ理論, 有向グラフ, 結合振動子, ネット炎上, 量子論,
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あらまし:
情報ネットワークは単なる人と人の通信手段という枠組みを大きく超えて我々の生活に浸透し,現実世界の社会活動とネット上のサイバー空間の事象がもはや不可分であるかのように絡み合いつつある.またIoT時代の本格的な到来は,情報ネットワークにつながる人,‘もの’,コンテンツなどが現実社会とサイバー空間の関係を更に複雑で有機的な構造へと進化させるに違いない.一方で,このような強い結び付きによって,もはや情報ネットワークの枠組みだけで安定運用を考えるのは難しく,情報ネットワークにつながる人や‘もの’などを含めた大きなシステムを対象にして,それらの間に生じる相互作用までも考慮した枠組みを考える必要がある.本稿は,人のアクティビティが情報ネットワークを介してどのように影響を与え合うのか,また,ネット炎上のような爆発的なダイナミクスはどのような仕組みで発生するのか,などの現象を説明可能な新しいネットワーク基礎理論の進展を点描するものである.その過程で,スペクトルグラフ理論の有向グラフへの拡張に伴い,情報ネットワーク工学分野に自然な形で量子論的な枠組みが導入されることを見ていく.