米国で特許侵害訴訟に巻き込まれないようにするための注意点及び対策
Vol.92 No.1pp.37-42
発行日:2009/01/01
Online ISSN:2188-2355
Print ISSN:0913-5693
種別:解説
専門分野:
キーワード:
特許調査, 研究者ノート, 秘匿特権, デポジション, ディスカバリー,
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あらまし:
本稿は,日本企業や大学,それらに勤務する技術者や研究者がその開発成果や研究成果を製品化しようとする際に,米国訴訟制度上注意すべき点について,米国での特許侵害訴訟を念頭に置いて考察するものである.日本企業はかつて米国企業からその有する特許を根拠に多額の損害賠償請求を求められ,不本意な和解をせざるを得なかったり,不利な判決が下されたりするケースが多々あった(注1).これらの裁判の中には,実質的には,技術上,特許のクレームを侵害していない場合でも,米国における訴訟手続に不慣れなために,訴訟手続上でミスを犯したり,訴訟が起こされる前に訴訟で不利になる行動を取っていたというような理由により,日本企業が不利な立場に立たされているケースもある.訴訟手続は,真実が何かを決めるものではあるが,そこで求められる真実は絶対的なものではなく,訴訟手続において提出された主張及びそれを根拠付ける証拠により決定される相対的な真実である.このように訴訟手続は相対的な真実を追求するため,訴訟手続を規定するルールにより,その結論は大きく異なることになる.特に米国の特許侵害訴訟には,日本の特許侵害訴訟にはない,ユニークなルールがたくさんある.以下,それらについて説明するとともに,米国の特許侵害訴訟に巻き込まれないようにするための注意点及び対策について検討する.