■2. 遠隔情報収集センシングシステム

 センシングシステムには,遠隔情報収集にその目的を限定しても,なお多くの種類のシステムがあるが,その方式は次の3種類に大別することができる.

 (a) パッシブセンシングシステム

 センシング対象の温度・表面状態等その状態に応じて自ら発生する信号を受信する.通常信号強度のみで位相情報は得られない.

 (b) アクティブインコヒーレントセンシングシステム

 ランダムな位相(白色光,自励発振型パルス源等)の送信系と受信系を持つシステムで,センシング対象からの反射(散乱)波を受信する.対象の状態に応じて送信系を制御し,信号の強度及びその分布を都合の良い状態で受信することができるが,通常信号の位相情報は得られない.

(c) アクティブコヒーレントセンシングシステム(3)

 コヒーレントな送信源(位相情報が活用できるレーザ,マイクロ波半導体等)と受信系を持つシステムで,センシング対象からの反射(散乱)波を受信する.対象の状態に応じて送信源を制御し,信号の位相情報,強度,強度分布,時間遅延,周波数偏移等の情報を得ることができる.したがって信号の適応的フィルタリング,開口合成処理,移動体のトラッキング等様々な信号処理技術を駆使することにより対象のより詳細な情報収集が可能である.

 以上について基本構成や応用例等を表1にまとめておく.これらのセンシングシステムのうちで信号処理技術を活用してセンシング対象の情報が豊富に得られるのは,もちろんアクティブセンシングシステムである.以下波動信号を利用する遠隔情報収集システムで,アクティブセンシングを前提にした信号処理技術について述べる.

 

表1 遠隔情報センシングシステムの分類

 

 アクティブセンシングシステムは,多くの場合図1に示すように,送信源から発射された電波,光波,音波等のビームを走査しながらセンシング対象空間に照射して,その反射(散乱)波を受信解析するという方法をとる.この際,

 @ 目的や検出対象の種類により送信ビーム角と受信ビーム角が異なる

 A 分解能セルの形成法が様々である

 B プラットホームやセンシング対象が移動する






図1 アクティブセンシングシステムのビーム走査と分解能セル




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