■4. MEMS光スイッチ


 4.1 種々のMEMS光スイッチ

 フォトニックネットワークの効率的で柔軟な運用には,高性能の光スイッチが不可欠である.MEMS技術によるマイクロメカニカル光スイッチは,表2に示すように拡張性に富み,消光比が大きく,また波長に依存しないなどの優れた特徴を持つため,全世界で活発な開発が行われている.


表2 光スイッチの性能比較



 

 MEMS光スイッチの分類を表3(2)に示す.現在活発に研究されているものは,二次元型と三次元型の2種類である.二次元MEMS光スイッチの構成例を図2に示す.図2の構成で入力光ファイバの端部からの光をマイクロレンズで平行光ビームとし,それに対しマイクロミラーを斜めの角度で挿入することで,光の方向を制御して望みの出力光ファイバと結合できる.鏡は光軸と垂直な平滑面からなり,その大きさは数百μm以上である必要がある.普通光軸は基板と平行なので,基板と垂直な鏡を作るにはLIGAプロセス(10) やウェット及びドライエッチングによる垂直な異方性エッチングなど高アスペクト比の加工技術が用いられる.また,ファイバ間の結合損を減らすためには,光ビームの伝搬距離を短くすること,光軸のアライメントを良くすること,光ビームをコリメートすることなどが有効である.

表3 MEMS光スイッチの分類

 




図2 ニ次元MEMS光スイッチ  マイクロミラーは,マイクロアクチュエータでオンオフ駆動する

 

 三次元MEMS光スイッチの概念図を図3に示す.可動マイクロミラーとして,直交する2軸を中心に回転する2自由度可動ミラーを用いる.入力光ファイバの一つから出た光は,コリメータレンズで平行ビームになった後,2自由度マイクロミラーアレーのうち対応するミラーで反射される.ミラーの角度を正確に制御し,もう一つのミラーアレー中の適切なミラーに光ビームを導く. 二つ目のミラーは対応する出力光ファイバに,光ビームを結合する.すなわち,1チャネル当り2個の1×N スイッチを使用している.二次元MEMS方式が入力ポート数N に対してスイッチ素子を最大N 個必要とするのに対し,この例では1×N スイッチの個数が2N個で済む.



図3 三次元MEMS光スイッチ
  図中の写真は文献(13)から引用



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