■5. 進  歩  性

 特許適格性が認められれば,次に,新規性,進歩性の判断となる.新規性とは公知のアイデアでないという要件である.進歩性とは公知の発明から容易に考えつくことができないという要件である.日本の特許庁は,ビジネス方法とシステム化の技術の2点から進歩性のない場合を説明している.表1にあるように,公知のビジネス方法を公知のシステム化技術で実現したものは,進歩性がないことを明確にしている.2001年4月に日本特許庁が発表した「特許にならないビジネス関連発明の事例集」には,そのことを具体的な事例を用いて詳細に説明している(図5).


表1 日本特許庁におけるビジネスモデル特許の進歩性の考え方
(日本特許庁「ビジネス方法の特許に関するQ&A」 より)

表1 日本特許庁におけるビジネスモデル特許の進歩性の考え方



図5 日本特許庁における進歩性がない例

図5 日本特許庁における進歩性がない例
(日本特許庁「特許にならないビジネス関連発明の事例集」より)


 日本,米国,欧州において,特許適格性の基準が明確になり,今後の問題は,特許適格性から進歩性に移ってきている.特に,日本,米国では,ビジネス方法に関する公知例を収集し,審査の質を上げる努力をしている.米国特許庁は審査を二重に行うようにしており,ビジネスモデル特許の出願件数が増加しているにもかかわらず,米国で登録された件数は,2000年の1,062件から2001年は877件と減少している.

 

宮坂 道弘

みやさか みちひろ
宮 坂  道 弘

 昭61電通大・経営卒.昭63同大学院修士課程了.同年富士通(株)入社.以来,知的財産権の業務に従事.現在,同社法務知的財産権本部特許部特許第三部担当課長.

 



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