電子情報通信学会誌 Vol.87 No.1 pp.4-9 2004年1月

宇佐美光雄 正員 (株)日立製作所中央研究所  E-mail usami-m@crl.hitachi.co.jp
井村 亮 (株)日立製作所ミューソリューションベンチャーカンパニー  E-mail r-imura@hdq.hitachi.co.jp

Mitsuo USAMI, Member (Central Research Laboratory, Hitachi, Ltd., Kokubunji-shi, 185-8601 Japan) and Ryo IMURA, Nonmember (Mu-Solutions Venture Company, Hitachi, Ltd., Tokyo, 101-0062 Japan).


ミューチップ ユビキタスネットワークの世界を広げる砂粒チップ 宇佐美光雄 井村 亮


■ 1. は じ め に

 2001年6月28日の朝,ある製鉄会社の部長は海外出張へ向かうための途中で目にした新聞の1面トップ記事に強い関心を持たれた.それは,今までの常識を破る砂粒チップ「ミューチップ」の初めての発表であったことと,すぐ,部長の長年の懸案事項である,厚板鋼材認識応用への展開が思い浮かんだからであった.このように,ミューチップは,発表直後から世界中の人々に様々な分野で大きな関心を持たれ,発表後2年間で6,200件ものお引き合いを頂いている話題の製品となっている.ミューチップはこれからのユビキタスネットワークの世界を広げるデバイスとして,大きな御支援を得ながら成長しつつあるが,本稿においては,このミューチップが誕生した背景,ブレークスルーに至る経緯,現在の応用例,また今後の研究開発の動向などを述べてみたい.

 



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