■3. フォトニックIPネットワークのチャレンジ
3.2 Abundant bandwidth 一方,ふくそうの解決策としてもAbundant bandwidthは有効であることが示されている.インターネットにしばしばふくそうが生じるのは,トラヒックのデータ長分布のHeavy tailによる自己相似性に起因することも指摘されている(5).したがって,従来の電話ネットワークのように,ポアソンモデルがネットワークの設計に適用できないことも指摘されている.その解決策はバッファサイズを増やすことでも,トラヒックシェイピングでもなく,帯域を十分に確保することであるということが証明されている(14). 過剰設計の考え方はG. GilderのTelecosmの思想に通じる(15).G. Gilderは半導体・LSI技術をベースとするコンピュータ隆盛のMicrocosmの時代が終えんしネットワーク・通信をベースとするTelecosmへの世代が到来したと述べ,『ネットワークにはあり余るほどの帯域を持たせよ,インテリジェンスは端末に付与せよ』,『ネットワークのボトルネックはスイッチにある,だからスイッチをネットワークから排除すべきだ』とややせん動的で極論はあるが,核心をついた主張を展開している.一方,D.S. IsenbergはStupid Networkが将来のネットワークのあるべき姿であると論じている(16).Stupid Networkでは,コアネットワークには十分な帯域と簡単なスイッチング機能だけを持たせ,エッジに制御機能を分散配置したネットワークである.このような思想はフォトニック技術をベースとする21世紀ネットワークの姿を予言しているように思われる. 3.3 フォトニック技術によるチャレンジ PHB(Per Hop Behavior)というルータが行うQoS制御のメカニズムを図2に示す.エッジルータでは受付制御を設けQoSの申込みを受付可能か判断し,更にトラヒック調整機構を設けて流入するトラヒックに必要な処理を施す.受付制御やトラヒック制御などは上位レイヤのタスクであるが,トラヒック調整におけるパケット分類は適合パケットと非適合パケットに分類し,次に通過,破棄,遅延,マーク付けを行う.パケット分類はIPパケットのヘッダの特定のフィールドに書き込まれたDSコードポイントの参照によって行われるので,4.2に述べるようなフォトニックラベル処理が適用できる.その他の処理もいずれも光領域で実行できるので,高速化が可能であると思われる.
図2 DiffserveにおけるQoS制御メカニズム
(注1) フローとは送信ホストから受信ホストへの一つのコネクション上で送られる時間的にまとまったパケットの集合でQoS的に同じ取扱いを必要とするものとして定義される. |
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