2.3 ポスターの用意

 当然ながら,[ポスター]は[ポスター セッション]の[目玉]であるから,その製作には十分な注意が必要である.以下順を追って説明しよう.

 人目を引く効果は,当然ながら[文字列]よりも[図]の方がより大きく,訴える力も強いので《視覚に訴える表現方法》に工夫を凝らすことが重要である.

 場合によっては,[イラスト]を加える方が,内容にもよるが,説明文だけよりも,はるかに分かりやすくなる.

 同じことで,[表]よりも[グラフ]の方がよい.

 なお,装置の構造図などは,平面図や側面図よりも,三次元的な[鳥瞰図形式]を採る方が,はるかに直感に訴える力があるので分かりやすくなる(後の図4参照).

 また,[システムの構成]や[時間経過]の表現には[フロー チャート]の方が理解させる効果が大きい.


 2.4 [比較の原理]の効果とその導入


 〔受け手〕に対して《伝えたい内容》を分かりやすく伝えるには,[比較の原理]を駆使するとよい.

 これは,例えば〔過去の成果〕と〔開発した新しい成果〕を《比較して提示するような手法》である.

 紙数の関係で,詳細は略すが,例えば〔NHK〕の番組の【ためしてガッテン】や〔日本テレビ〕の午後に放送されている〔みのもんた氏〕の奥様方向けの番組では,この【比較提示の手法】がふんだんに用いられているので,御覧になった方も多いであろう.そこでは,テレビの画面を左右二つに分けて,ある手法を〔用いた場合〕と〔用いない場合〕とを【対比させて提示している】.

図3 【比較提示】の例

図3 【比較提示】の例

 ポスターセッションでは,短時間中に〔受け手〕を納得させることが必要なので,この手法は大いに用いるべきである(上の図3に例を示した).


 2.5 ポスターの[文字列表現]の工夫


 先に,ポスターでは《[文字列]よりも[図]を》と述べたが,もちろん[文字列]も重要ではある.しかしそこには次のような注意が必要である.

 一般に,ポスターの文字の寸法が小さすぎることが多い.例えば[配布用の印刷資料]を,そのまま拡大してポスターとして使う方を見受けることが多いが,これでは,その前に立つ人だけにしか文字が読めない.

 ポスター上の文字は,少なくとも約10cm角以上の大きさが必要である.実は,ポスター上の文字を見て,大き過ぎるのではないかと思うぐらいが適当である.

 それほど大きな文字では《述べたいことが書き切れないではないか》と思う方もおられようが,実は,表2に示す記述に従って頂きたい.

表2 ポスターの 〔文字パターン〕 について
 〔ポスター〕の文字列は《文章でなく》
【句】や【キーワード】で表現するのが基本.
 部分的に《書体を変え色付けする》のもよい.


 すなわち,文字をゴシックなどの<太字>にしたり,[色]を付けたり,アンダーラインを引いたり,[かっこ]で包んで強調するなどして《目立たせる》.しかし,これらは〔多用する〕とかえって逆効果になる.

 例えば【大項目の文字】には[青色]を用い,その説明文は[黒]を使うなどして,アクセントをつけるのは効果的である.[赤色]は目立ちやすいが,これも多用は禁物である.【書体の変化】も指示効果を高める.

 〔◇,△,◎〕などの記号を[各項目の行]の先頭に置いて,[それらの項目の区別]を目立たせる.



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