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A:生体の温度上昇が1度を超えると健康に有害である(健康影響がある)ことが各種の実験から分かっているので,職業人では約0.1度を超えないように,また一般人では約0.02度を超えないように電波の強さを押さえなければならないとされる.実際には体温は衣類,気温,湿度,身体活動状態によっても変動があるので,学問的には体温の替りに「体重1kg当り毎秒幾らの電波エネルギーを吸収するか」に注目する.この値は全身平均SAR(Specific Absorption Rate: 比吸収率)と呼ばれる.温度上昇が職業人0.1度,また一般人では約0.02度を超えないようにするには,全身平均SARの値がそれぞれ0.4W/kg,0.08W/kgを超えないようにすればよいことが分かっている. |
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表4 周波数100kHz以上の電界強度及び磁界強度の指針値(文献(4)より抜き書き)
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A:答えは「OAエプロンを着用しなくても健康影響はない」.問題は@着用者は外部電磁界のどのあたりの周波数をカットできるのか,AOA機器から果たして有害な電磁波が出ているか,である. OAエプロンはゴムとかプラスチックに金属繊維やカーボンを混ぜて作られたもので,高周波(電波を含む)の電磁界はある程度カットする.しかし低周波(商用周波を含む)の磁界はカットできない(カットするには厚い鉄材が必要). 各種情報処理機器(OA機器)の動作時には高周波の電磁界が外に漏れて出る.また機器の電源部やブラウン管を含むVDTなどからは,低周波の磁界も漏れて出る.しかし漏れ電磁界の大きさは,実測結果によると表4の指針値以下である(そうでないと,そのOA機器は欠陥商品だと消費者にレッテルを張られることになる).要するに,OA機器からの漏れ電磁界は,健康影響を生じる強さのものではない. OA機器(一般にVDT)から漏れる高周波電磁界のレベルは,元々非常に低く,健康に影響を与えないことが次のような考え方からも分かる. OA機器の漏れ電磁界は,他の同種の機器に影響を与えないように自主規制(VCCI)が設けられている.それによると,最も緩い場合でも,電界強度許容値(限度値)は3mの距離で57dB,すなわち0.71mV/mである.ワーストケースとして距離の三乗反比例を仮定すると,人体があると想定される距離30cmまで近づくときに,人体が受ける漏れ電磁界は0.7V/mに大きくなる.電波防護指針の電界強度の最低レベルは,ワーストケースでも9V/mである(Q9参照)ので,漏れ電磁界約0.71V/mはその10分の1以下の値に減少していることになる. |
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