電子情報通信学会誌

Vol.84 No.5 pp.282-286

2001年5月
菊地 眞 正員 防衛医科大学校医用電子工学講座
E-mail mkikuchi@cc.ndmc.ac.jp

Trend of Scientific Technology for Medicine and Welfare. By Makoto KIKUCHI, Member (Department of Medical Engineering, National Defense Medical College, Tokorozawa-shi, 359-8513 Japan).
< ABSTRACT >
 急速に進行する高齢化社会への具体的対応が重要な社会問題となりつつあり,高度福祉社会を目指した工学と医学の連携が強く求められる.そのような社会環境の下では,従来技術では社会の要求に適切にこたえることが困難になる.今後のMBEは,遺伝子工学や組織・細胞工学を中心とした新たな科学技術が導入される.また今日的時代背景においては,医療・福祉・保健が一体化された支援技術が望まれ,機能低下によって生ずるdisabilityを克服するための生活支援工学と連携していく必要がある.

キーワード:先端的医療技術,バイオテクノロジー応用,高齢化社会,高齢者・障害者支援技術

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■1. 医療・福祉を取り巻く社会環境の変化と対応すべき技術の変容

 我が国においては,急速に進行する高齢化社会への具体的対応が重要な社会問題となりつつあり,高度福祉社会を目指した工学と医学の連携が強く求められる.特に我が国では高齢化の進行度が著しく,後期高齢者の占める割合も増加の一途をたどっている.そのような社会環境の下では,従来の技術だけでは社会の要求に適切にこたえることが困難になる.国民のQOL (Quality of Life)を向上させるために必要とされる技術の概念を図1に,また図2にはそれらを実現させるために必要となる技術分野を示す.


図1 高度福祉社会に求められる医用工学と福祉工学の関連
[T]生命支援分野
 1.生体計測技術
 2.治療技術
 3.生体機能代行補助技術

[U]生活支援分野
 4.自立支援技術
 5.介護支援技術

[V]社会活動支援分野
 6.就労・余暇支援技術


図2 高度福祉社会に求められる具体的技術分野





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