〔辻井〕
 二つの立場からお話したいと思います.

 一つは,文部科学省学術振興会で「電子社会システム推進委員会」なるものを持たされております.その下に四つのプロジェクトがあるのですが,全部文科系なのです.言い出しっぺみたいな感じで推進委員長をやらされて苦労している,その観点からこの「共創」の問題を考えてみたい(図1).もう一つは,先ほど紹介して頂いた暗号関係ですが,暗号というものを通して明治,大正,昭和,平成,21世紀を「貫く棒のごときもの」を考えてみたい.明治以来,1985年ごろまで,富国・経済成長の面では一応成功したといえますが,これは,我々の集団志向性,内部規範社会が近代工業社会に整合していたからであって,農業社会から工業社会への連続性は,工業社会から情報社会への転換では成り立たない.低次元の感情によって意思決定を誤らないだけの個性と理性の強さ,そして立体的構想力などが情報社会では必須となりますが,明治以来の歴史を,暗号と情報という面から振り返ってみると,こうした資質の欠如のゆえに,国策を誤ってきた.こうした点についても時間が許せばお話したいと思います(図2).この二つについてお話したいと思います.

図1 電子社会構築へ向けての研究

 

図2 暗号・情報からみた日本の失策






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