■3. 金ナノ微粒子修飾DNA単分子膜の作製


 金薄膜基板に対する有機分子の固定化は,自己集積化(Self-Assembly)法により行った.チオール基(-SH)やジスルフィド基(-S-S-)を有する分子は金基板上で容易にAu-S結合を形成することで自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer)を形成することがよく知られている(6),(7).筆者らは,3´末端にチオール基を有するプローブDNAを金薄膜基板上に固定化した(8).プローブDNAと金ナノ微粒子の接着法として,ビオチン−アビジンの抗原−抗体反応を利用した(図5).


図5 金ナノ微粒子修飾DNA単分子膜

 3' 末端にチオール基,5' 末端にビオチン基を有する一本鎖DNAを金薄膜基板に固定し,ビオチンーアビジン相互作用により金微粒子を修飾した.

 

■4. DNAハイブリダイゼーション検出


 筆者らは,SPR応答を観測することにより,金ナノ微粒子修飾プローブDNA単分子膜がDNAハイブリダイゼーション検出に対して有効であることを実証してきた(5),(8).図6にSPR応答の測定例を示す.ここでは,金薄膜基板上に複数の金ナノ微粒子修飾プローブDNA単分子膜を形成し,濃度の異なる検体DNA溶液を滴下,ハイブリダイゼーション反応後,測定を行った.SPRイメージング画像では,ハイブリダイゼーション時の検体DNA濃度(nM=10mol dm)に伴いSPR信号(反射光強度)が増大している.SPR信号(反射光強度)はプローブDNAと検体DNAのハイブリダイゼーション反応量に対応するために,信号強度から検体DNAの濃度を解析することができる.また,SPRイメージング測定によりDNAチップ上,各プローブDNAスポット部位からの信号を一括して検出するために,測定に要する時間は数秒程度である.このように,本技術は迅速・簡便かつ定量的なDNA検出を可能とするものである.


図6 SPR イメージング画像

 He-Neレーザからのレーザ光(波長 632.8nm)を対物レンズ,ピンホール,レンズを用いてビーム径を調製する.偏光子によってp-偏光(入射面に対して平行な偏光)としたレーザ光を,プリズムを介してサンプル基板に照射する.反射光(SPRシグナル)はCCDカメラを用いて撮影.


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