高等教育機関におけるネットワーク運用ガイドライン |
- 健全なネットワーク社会とリスク管理 - 三 島 健 稔
3、策定の経緯
いわゆるサイバースペースにおける作用は良くも悪くも,実世界のそれより速くかつ大きく限りがない.このような状況にあって,社会の健全なる発展維持のためには,安全なネットワークの運用・利用が必要不可欠であるが,ネットワークを保有する各々の機関,それを運営する管理者,利用者のいずれも有効な指針を持たず,混迷の中にあるのが実情である.
このような状況にかんがみ,平成13年2月,WGが活動を始めたのである.その後の経緯は,以下のとおりである.
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平成13年2月:メンバー招請とブレーン・ストーミングによる問題の洗い出しとを開始した. |
A |
平成13年10月:検討する領域を四つに分割検討し,素案の作成を開始した.各領域の素案は,その都度他の領域の委員と検討して整合性に配慮した. |
B |
平成14年3月:中間報告をまとめた. |
C |
平成14年9月:第1版・暫定版を作成公開し,同11月末までの期間,パブリックコメントを求めた. |
D |
平成15年1月:以上を総括し,第1版として完成をみた. |
分割した領域は,総論・体制,運用・管理,利用者,教育・倫理の4部門であり,メンバーを電子情報通信学会の会員に限らず,心理学,法学等の専門家の参加を得て,分野を超えた献身的な協力体制を敷くことができたことは特筆すべきであろう.メンバー(*は各領域の総括者)とその主な役割は以下のとおりである(所属は就任時).
主 査 ・ 統 括 : |
三島健稔(埼玉大学) |
総論・体制領域 :
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三木哲也*(電気通信大学) 冨士原裕文(富士通) 曽根秀昭(東北大学) 中山雅哉(東京大学) 三島健稔(埼玉大学) |
運用・管理領域 :
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金谷吉成*(東北大学) 丸橋 透(ニフティ) 楠元範明(早稲田大学) 砂原秀樹(奈良先端科学技術大学院大学) |
利 用 者 領 域 :
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高橋郁夫*(弁護士) 稲葉宏幸(京都工芸繊維大学) 岡田仁志(国立情報学研究所) 近藤左保子(明治大学) |
教育・倫理領域 :
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中西通雄*(大阪大学) 原田康也(早稲田大学) 辰己丈夫(神戸大学) 板井孝壱郎(京都大学) |
オ ブ ザ ー バ :
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高倉弘喜(京都大学) 郷原正好(国立情報学研究所) |
WGと同時期に一部の国立大学間でも関連領域の研究会が開催されていた.WGでは,同研究会委員を併任していた曽根委員のほかに2委員をオブザーバに迎え,討論に参加して頂いたが,情報交換にとどまらず有益であった.