■ 4. 広範囲に無線タグ用のICの応用機運をもたらせた砂粒チップ

 ミューチップが製品発表されてから比較的初期の段階であるが,製品コンセプトの御理解を頂き,適用システムの開発が進められている例を以下に御紹介する.なお,このほかにもミューチップの適用範囲は広く,日ごと多くの人々の関心を得つつある状況である.

 4.1 愛・地球博入場券システム(図4)

 2005年3月25日から半年間開催される愛・地球博は,日本景気回復の起爆剤としても大いに期待されている.ミューチップは,紙に埋め込まれて入場券の偽造を防止し,お客様や主催者側の利便性の確保や,パビリオンでの各種アトラクション応用に利用される.ミューチップは自動ゲートによるスムーズな入退場に効力を発揮するとともに,携帯電話などの端末とリンクしたパビリオン予約,迷子探し支援,懸賞・抽選などの新しいサービスが検討されている.


図4 2005年開催の愛・地球博でのミューチップ
パビリオンや交通
手段を予約*
自動ゲートによる
スムーズな入退場
迷子探し支援*
懸賞・抽選サービス*
     
*:検討中サービス
図4 2005年開催の愛・地球博でのミューチップ 
愛・地球博では,ミューチップが入場券に埋め込まれて活躍する.ミューチップの番号により,インターネットサーバ上のあらかじめ登録された情報にアクセスできる.入場券購入者が連絡先などを登録すると,更に高度なサービスを享受できる.



 4.2 鋼材自動認識管理システム(図5)

 橋りょう,建築,船舶等の大型厚板鋼材は注文生産であり,仕様が1枚ごとに異なることが多く,潜在的に自動認識技術が求められてきた分野である.しかし,バーコードは,現場の汚れに弱く,また狭小で凹凸のある部分では,貼付や読取りに限界がありうまく活用されていない.ミューチップは鋼材に張り付けても番号を読み取ることができる.その番号によりあらかじめ登録したネットワーク上のサーバとアクセス可能であり,インターネットとリンクした有機的な鋼材管理が可能となる.例えば,鋼材利用者はミューチップの認識番号を読み取って,鋼材製造者の出荷現品情報などをインターネットにより瞬時に得ることができる.


図5 鋼材自動認識でのミューチップ 

図5 鋼材自動認識でのミューチップ 
ミューチップを鋼材に張り付けても番号を読み取ることができる.その番号によりあらかじめ登録したネットワーク上のサーバとアクセス可能であり,はん用的なシステムを構築することができる.



 4.3 農産物の生産記録システム(図6)

 狂牛病事件をきっかけに,食の安全を確保するため,すべての農産物のトレーサビリティ(生産,流通履歴の追跡管理)を確立する仕組みづくりが進んでいる.ここでもミューチップは威力を発揮する.すなわち,生産者が農産物を出荷する際に,ケースなどの流通上の最小単位にミューチップを取り付けると,流通企業は読取り器でミューチップの認識番号を読んで,インターネット上のデータベースを読み出し,生産記録情報を引き出せる.お米などのブランド品の偽造防止にも役立つ.

図6 農産物生産記録でのミューチップ 

図6 農産物生産記録でのミューチップ 
ミューチップはバーコードに比べて偽造しにくい.そのミューチップの番号を農産物の生産過程の記録とリンクしてネットワークサーバに登録することにより,ミューチップの番号が生産物の経歴をアクセスするための番号として有効に生かされる.


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