図2に示すように試作されたRadarcommでは,本体のレーダ機能と通信機能は時分割で動作し,FM-CWレーダとパケットAの送信を1秒間に約188回行っている.また,アンテナを機械的に駆動して水平方向±15度,1周期を2秒でスキャンさせている.トランスポンダはレーダ通信統合装置本体から送信されるパケットAを正常に受信したときにパケットBの送信を行っている.装置の諸元例を表1に示す.また,図3に試作された装置の写真を示す.


図2 時分割共用方式

図2 時分割共用方式

 

図3 試作されたRadarcommの本体とトランスポンダ

図3 試作されたRadarcommの本体とトランスポンダ

 

表1 装置の諸元

レーダ通信統合装置
トランスポンダ
送信周波数
60.5GHz
送信電力
+5.0dBm
Max:5.7dBm
変調方式
2 FSK / AM
復調方式
ホモダイン検波 /
包絡線検波 / FSK
伝送速度
100kbit/s
アンテナ偏波
斜め45°
アンテナ利得
30dBi
10dBi
アンテナ指向
AZ3.5°/ EL3°
AZ60°/ EL60°

パッシブ方式のため受信電力値で送信電力は変化する.



 このほかの研究開発では,耐干渉性に優れているスペクトル拡散方式のレーダと通信の統合システムが検討されている.このシステムでは,レーダにより車両位置計測を行い,通信リンク接続は車両位置情報を基に,アンテナビームを周辺車両に向け,PN符号を割り振る方式が採用されている.このシステムの測距仕様,通信仕様を表2, 3に示す.詳細については文献(4)を参照されたい.


表2 測距仕様

周波数帯 60GHz
送信電力 10dBm
測距レンジ 5m 100m
測距精度 1m
相対速度 −100km/h〜200km/h
距離分解能 3m
検地角度 ±22.5


表3 通信仕様

周波数 60.5GHz
送信電力 10dBm
通信エリア 100m
伝送レート 1Mbit/s
変調方式 BPSK
周波数安定度 ±2ppm



 また,24〜29GHz帯UWB(Ultra Wide Band)レーダに通信機能を付加した近距離レーダ通信統合システムの研究開発も欧州を中心に進められている(5).このシステムでは,30m程度をカバーするレーダ通信装置を車の周囲に複数台装着し,渋滞中の自動運転「Stop & Go」や車庫入れ時のサポート等に役立てようとするものである.

 


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